平成28年3月11日(金) 曇り

 9時半起床。
 残り物で朝食。
 白菜のクリーム煮がまだ余ったので,パスタを折って入れておく。
 昼飯用である。
 テレビを見たり,新聞を読んだり,ネットを見たり書いたり。
 昼食はクリームパスタ。
 ゆでないでそのまま温めただけ。
 なんかうまいじゃないか。
 株価を見る。
 今年に入ってからずうっとさえないよなあ。
 考えてみれば,去年の9月頃からかもしれない。
 8月末に3分の1くらい売ってしまったのは正解だったかもしれない。
 まだ現金が残っている。
 14時46分。
 黙祷を捧げる。
 テレビでもやっていたし,町内のスピーカーからも聞こえてきた。
 あのときもちょうどパソコンに向かって株価を見ていたのだった。
 ガリガリという鋭角的な感じの激しい揺れに驚いて,慌ててトイレ付近に向かったのだった。
 その数日前,このあたりがいちばん安全だろうと家族で話していたばかり。
 ピアノの脇を通り過ぎるとき,挟まれたりしないだろうかちょっと心配になったのを覚えている。
 トイレとリビングと子供部屋の3か所のドアを開けて,それに掴まりながら揺れに耐えていた。
 ドアの間にいれば,天井からの落下物にも直撃されないんじゃないかと思っていた。
 ギシギシと建物がゆがむ感じ,あちこちでものが落下する音。
 ちょっと揺れが収まったところで,ピアノの脇をすり抜けてテレビをつけにいった。
 すぐ元の場所に戻った。
 何回か余震が来た。
 これは,とんでもないことが起きたぞとは思っていたが,具体的にどう対処すればよいかは浮かばなかった。
 少し落ち着いたところで,パソコン前に戻った。
 へんな話だが,パソコンが無事かどうか気になったのだ。
 株価情報の更新ができなくて,ハードディスクが飛んでしまったのかと思ったがすぐに復旧した。
 意外と丈夫なものだと感心した。
 プロバイダーも証券会社も機能しているようである。
 テレビでは,原発が停止したと言っていたような記憶もあるのだが定かではない。
 私がものに動じない冷静沈着な人間だったら,15時まで数分はあったと思うので持っていた東京電力の株をぜんぶ売っていただろう。
 そしてそれなりの利益を手にしていたはずだ。
 だが,残念なことに(?),パソコンが動いているのに安心しただけで,株を売ることなどまったく思いもしなかった。
 家族に,ショートメールしたが通じない。
 電話もしてみたし,Eメールもしてみた。
 パソコンからも送ってみたが,やはり返事がない…。
 息子からPHSで連絡が来た。
 ピッチなら通じるということで,実家にも連絡したという。
 固定電話,携帯電話はだめだったが,ユーザーが少ない(?)PHSなら通じたということである。
 いくつかものが落下していたが割れたものはなかった。
 引き出しが数箇所10cmくらい飛び出していた。
 地震対策が施されたキッチンの扉は開かなかったが,中で食器がかなり移動していた。
 家に損傷がないか,各部屋をまわりチェックした。
 愛猫がそのときどこにどうしていたのかまったく記憶にない。記憶にないということは,無事を確認していたということかもしれない…。
 ベランダもチェックした。
 私の体重で崩落してもまずいので,ひび割れなど起きていないか慎重に動いた。
 下の階で火事など起きていないか身を乗り出して覗いてみた。
 東の空に,焦げ茶色の煙が上がっていた。
 外扉は開く。
 そのまま階段を降りる。
 道に出て,マンション全体を眺める。
 見える範囲では,壁が剥がれているなどのことはなさそうである。
 この時間帯だから,住民はほとんどいないのかもしれない。誰も出てこない。
 管理人さんと話をした。
 エレベータは止まったが,あとは大丈夫らしい。
 遠くの煙を2人で見て,どこかで火災が起きているのだろうと話すが,もちろんどこかはわからない。
 部屋に戻って再度点検。
 ガスがつかない。
 地震で停止することは知っていたので,メーターボックスを開けて復旧作業をする。
 初めて経験したような激しい揺れだったが,震度5弱ぐらいらしい。
 女房とも連絡がついた。
 ちょうど外にいて,知らないおじさんと2人で何かに掴まって揺れに耐えていたという。
 会社に戻って,20階まで階段を上がったといっている。
 テレビは,上空から見た津波の映像を流している。
 人影は見えなかったが,多数の車が黒い動きにのみこまれていく。
 無数のゴミを巻き込んだような平べったい黒いどろどろとしたものが,ジワジワと畑を昇っていく。
 なにが起きているのかよくわからない。
 仙台空港が映った。
 いやにゆっくりと小型の飛行機が流されていく。
 不思議で不気味な光景に目が釘付けになった。
 何かとてつもないことが起きていることはわかったが,実感は湧かなかった。
 何か買わなくてはと思って,買い物に出たような記憶があるのだが,水でも買ったのだろうか。
 いや,これは別の日だったかもしれない。
 息子は帰れず会社に泊まり,女房は歩いて帰ってきたから(実は近い),買い物などには行かずあり合わせで済ませたような気もする。
 その辺のことは,この日記でも書いていないな。
 1週間ぐらい,それどころではなかった…。
 
 このまま書き続けるといつまでたっても終わらない。
 私にきちんとした記憶力と描写力があったらよかったのだが…。
 
 そういえば,それ以来ピアノが壁から数センチ前に動いたままである。
 我が家では,唯一の震災の爪痕ということになる。
 もう一つ,いまでも反省しているのは,まわりの家の状況に思い至らなかったということ。
 夜になって,近所の奥さんがわざわざガスの復旧は大丈夫か,尋ねてきてくれた。
 復旧のしかたがわからず往生したという。
 だから,うちが困っていたら教えてくれるつもりだったらしい。
 それさっきやりましたってあっさり答えてしまったが,なんてダメなやつだろう。
 そうなんだよなあ。
 取説に書いてあったし,メーターにも書いてあったから,わからない人がいるとはまったく思いもしなかったのだ。
 階段を降りて昇って,わざわざ来てくださったのに…。
 「若い」私がなにもしなかったのだ…。
 
 15時45分,プールに行く。
 駅そばの八百屋で買い物。
 イチゴ2パック,ほうれん草,ジャガイモ,菜の花,ネギ,キュウリ,キャベツ。
 合計1410円。
 いったん家に戻る。
 掃除をする。
 風呂掃除もする。
 米のパン屋で米のシフォンケーキ2個。
 合計324円。
 いつものスーパー。
 水,ホールトマト缶,ローレル,あとひきダイコン,パプリカ赤黄,むきえび,牛挽肉,合い挽き肉,ロースハム,えびの高原ロングサイズウインナー。
 合計3197円。
 夕食の献立。
 煮込みハンバーグ。ロールキャベツの予定だったが,時間がなくなった。タマネギ,ブナシメジ,…。
 油揚げとわかめと菜の花の炒め煮。甘辛く和風にした。
 野菜の味噌汁。ニンジン,ブロッコリーの茎,タマネギ,ジャガイモ,…。
 エビご飯。エビピラフっぽく炊き込んでみた。バター,ブナシメジ,タマネギ,ニンジン,…。
 ビール1000mL。
 赤ワインを女房と1本。
 報道ステーション甲状腺がん特集に腹を立てる。
 去年だか一昨年だかにも腹を立てた記憶があるが,わざわざこの日にやるのかなあ。
 だいたい現時点では,甲状腺がんが増えているとは言えないというのが大方のまともな専門家の意見だと思うのだが。
 ほんの一握り(1人?)の妙な専門家,それも甲状腺がんの専門家でもない人の意見をさも重大意見のように採り上げるのはどうかと思うぞ。
 チェルノブイリとの被曝量の違いにも触れないし,他県で子供の検査をしたら福島県と同等かそれ以上に甲状腺がんが見つかったことにも触れないし,チェルノブイリといま福島で見つかっている甲状腺がんの遺伝子型が違うという研究にも触れないし,そんなことも知らないで報道しているならとんでもない勉強不足だし,知ってて報道しているなら相当に悪質。
 なにが狙いなのか。
 過剰診断について触れたのは,多少の進歩と言えるかもしれないが…。
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