8時半起床。
前の晩の残り物で朝食。
珍しく早起きなのは,裁判の傍聴に行くため。
乗りかかった船(?)だから,一応判決までは聞きたい。
まず,正社員女子に「荷が重いような…」とメールを入れる。
ついでに株価とかチェックしてしまって,結局遅刻。
弁護側の最終弁論のようだった。
小声な上,早口でなに言っているんだかよく聞こえない。
(これなら遅れて来てもおんなじだ。)
要するに,原告側の言うことは大げさ,実際はたいしたことはないんだといっているようである。
最後に,被告人は無罪,と読み上げたところで被告が眼鏡をあげてハンカチで目頭を押さえていた…。
続いて,被告人の最終陳述。
深く反省している,まったくもって申し訳ない,しかし,そもそも私の理解が足りなかった,誤解を与えたのは私の不徳の致すところ,原告のいうような意図は全くなかった,思ってもみなかった…。
意訳するとこんな感じかな。
次回はいよいよ判決である。
昼にはまだ間があったので,もう1本傍聴する。
裁判員裁判をやっていたのでこれにする。
いやいや,まるで雰囲気が違うね。
検察側がしゃべっていたのだが,前回とはうって変わってえらくゆっくり。全力疾走から突然抜き足差し足しに変わったような印象がある。
言葉の切れ目に妙な間が開くので,言語表現に問題のありそうな相当に変わったひとだなと思ったのだが,そうではなくて裁判員裁判だからということのようだ。
マイクも使っているし,パワポらしきもので証拠写真やポイントを順次表示していく。
とにかく,裁判員にわかりやすくということなのだろう。
プロ対プロと,プロ対アマチュアの違いということだな。
広い法廷で傍聴人もたくさんいて,強面なおじさんは関係者かもしれない。
地下の食堂で,チャーシュー麺。
500円。
裁判所といっても,社食と同じイメージだ。
味も社食並み。
食堂を出たところで,裁判員の男性とすれ違った。
午後も引き続きあのひな壇に座り続けるようなので,なかなか大変そうである。
精神的重圧はかなりなものだろう。
我が家は全員裁判員をやってもいいといっているんだが。
いっこうに選ばれないけど…。
このまま家に帰るのもなんだから,ということで品プリに行って映画を見ることにした。
アメリカン・スナイパーを見たかったのだが,時間が合わない。
2時間以上間がある。
たまには文化の香りを,ということで,原美術館に向かう。
品プリの裏手かと思いこんでいたが,さらに国道を渡るのだった。
初めて入った建物は,古き良き時代を感じさせておしゃれである。
個人の邸宅だったらしい。
メインの展示は,蜷川実花:Self-image
極彩色の花の写真とかはアサヒカメラで見ていた。というか,それしか知らなかった。
色のわりにはイメージが暗い,東南アジアの仏教寺院を見るような感じがする,というのがシロートなりの私の感想だった。
メインはやはりそんな感じ。
私としては,桜のシリーズが好きである。
私には手の届かない感性。
解説によれば,目黒川の桜を3時間ほどで撮ったもの,ということである。
他の常設らしい展示は,みな現代風のもの。
書くと長くなるのでやめておくが,いずれもけっこう刺激的。
美術に疎い私でも楽しめました。
ひとつ笑ってしまったのは,庭にある大きな新聞紙のオブジェ。
New York Timesの宇宙開発に関する記事の部分を拡大コピーして切り取って,くしゃっと丸めて芝生に放り投げたようなものである。
陶器のようなもので作られているらしい。
記事はちゃんと読める。
折り曲がった底に落ち葉とかがたまっている。
裏を見ると泥が跳ねたりしてけっこう汚れている。
この辺を計算に入れた「わび・さび」なのかもしれない。
そう思いながらまわりを回っているうちに思い出した。
倉敷の大原美術館地下にあった巨大な新聞の束に似ている。
大原美術館で覚えているのは,これのほかにはグレコの絵とがらくたのバイクと切れ目を入れた抽象画と階段下の女体彫刻と,茶色いお皿と池の睡蓮ぐらいだから,私にとってはいちばんのインパクトであったわけである。
あっちは紐でからげた資源ゴミ状態で,こっちはくしゃっとしてポイである。
原美術館に大原美術館である。
ひょっとして同じ作者?
しかし,さっきからケータイでぺらぺらしゃべりまくっている婆さんはなんだろう。
声はやたらでかいが,腰が曲がってえらく年寄りに見える。
高尚な現代美術の展示場には場違いな婆さんである。
そばでは,おじさんが黙々と庭の手入れをしている。
そこへ,女性が近づいて話しかけた。
「あそこの桜,とてもきれいですね。」
「ありゃ桜じゃないよ。梅。桜にはまだ寒いよ。」
花の色がえらく薄かったので,私もひとめ桜かと思ったくらいだから,まあ無理ないかもしれない。
おしゃれな娘だったので許すことにしよう。
若い娘に話しかけられたおじさんは,立ち上がっていろいろ話し出した。
「ほら,いま電話しているのはこの彫刻をつくったひと」
「ときどき見に来る」
「汚れとか気になるらしい」
し,失礼いたしました! 作者であらせられましたか!
なるほど,よく見れば眼光鋭くただ者ではない雰囲気だ…。
口調もきわめてしっかりしている…。
電話が終わったらサインでももらおうかと思っていたのだが,いっこうに終わらず,他のオブジェを見ている一瞬のすきに風のように消えていた。
時間が来たので映画館に戻る。
アメリカン・スナイパー
アメリカ側から見たイラク戦争,といえばその通りだが,いろいろと考えさせられる。
結末を知っていたせいか,後半の危機的状況にもそれほど驚かない。
銃声の乾いた音が印象的。
それにしても,さっきの作者といいクリントイーストウッドといい,いまどきの年寄りはやたら元気である。
私も年寄りだが,いろいろと次元が違うようだ。
いつものスーパーで買い物。
コーヒー粉,ちくわ,イチゴ,ロースハム3連,カツ重弁当。
合計1813円。
弁当を買ったのは超久しぶりか。
夕食の献立。
私1人。
カツ重弁当,味噌汁の残り,ご飯の残り。
ビール1000mL。
八朔1個。
さっきの作者は,三島喜美代氏。
世界的に活躍しておられるアーティストのようだ。
知らなかった…。
それにしても盛りだくさんな1日であった。
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